現新一騎打ちの知事選は、29日で17日間の選挙戦が終了する。3選を目指す現職仁坂吉伸候補(64)=和歌山市東高松=は2期8年間の堅実な県政運営に県民の信頼が厚く、与野党相乗りの強力な支持も受けて序盤から優位な戦いを展開。対する新人の法律事務所事務局長畑中正好候補(62)=田辺市天神崎=は日本共産党の推薦を受け、「安倍暴走内閣に追随する県政の流れを変えよう」と、懸命の庶民派アピールで巻き返しを図る。
 仁坂候補は自民、公明の与党に加え、社民県連、前回は対立候補を推薦した民主党をも味方につけ、建設業関係など各種団体からの推薦も300近くに上り、支持基盤は盤石。告示後は連日街頭に出て、▽産業・観光振興▽地震津波等の災害対策▽高速道路等のインフラ整備――など「7つの政策」をアピールし、有権者とは積極的なスキンシップで「和歌山を元気にするあたたかい改革に、力を貸してください」と支持を呼びかけている。
 現職の強固な組織力をバックに、共産党推薦候補との一騎打ちに突入したが、選挙戦がスタートしても有権者の盛り上がりはいまいち。陣営も投票率低下の危機感は強く、「直後に衆院選があり、有権者は忙しい時期にうんざりするかもしれないが、われわれとしては日程が衆院選の前ということがまだ幸い。1人でも多く投票という行動で信任を示してもらいたい。なんとしても前回(43.37%)を上回り、圧倒的勝利で3選を果たしたい」という。
 一方の畑中候補は、日本共産党県委員会、県教職員組合などで構成する「ゆたかで住みよい和歌山県をつくる会」が擁立。「大型プロジェクトと企業誘致を基本施策とする国べったりの仁坂県政を変え、県民の命と暮らしを守る県政を目指す」とし、▽商業振興予算の増額▽森林資源、自然エネルギーの活用▽全県で中学卒業までの医療費無料化――などの政策を掲げている。
 選挙は知名度不足と支持基盤の弱さから苦しい戦いを強いられているが、一日に10回から15回の街頭演説をこなし、日を追うごとに人の集まりがよくなってきていると実感。陣営は「とくに衆議院の解散(21日)以降、安倍暴走内閣に対する不信感の高まりが追い風となり、畑中が訴える県政刷新の声にも確実に共感が広がっている。駅やスーパーの演説でも、オスプレイやTPPなど国民の声を無視する自公政権にいいなりの県政を改め、弱者の生活と福祉を守る県政に変えてほしいという声が多くなってきた」と話す。
 選挙戦もあと残すところあと一日。29日は両候補とも終日、県都和歌山市で最後のお願いに声を振り絞る。