印南町が印南地内にある高台の神子ノ尾団地で進めている新庁舎の基本設計が終わり、イメージ図と施設概要が明らかになった。免震構造、災害対策室への転用可能な会議室・議場、自家発電設備などを備え、災害発生時いち早く対策本部機能を可能にするとともに、約1200人の住民避難場所も確保した災害に強い庁舎となっている。平成27年秋ごろから着工し、29年4月1日からの供用開始を目指す。
 場所は印南2573番地で、ゴルフ場「いなみカントリークラブフジ」の上り口付近。敷地面積は約9000平方㍍で、施設が約1100平方㍍、駐車場が4000平方㍍、残りが敷地内道路や緑地となっている。
 施設は鉄筋コンクリート3階建てで、免震構造を採用。南海トラフ地震で想定されている震度6強にも耐えられる構造となっている。このほか地震に強い「シンプルで強靭な庁舎」をテーマに、災害後の復旧と速やかな対策本部の設置を想定。会議室や議場のいす、机を可動式にするほか家具などはできるだけ固定せず移動可能にすることで、災害時に速やかに対策本部室に転用可能。また自家発電設備を備え、停電時には72時間分の電力を確保できるようになっているほか、各備蓄品も配備。駐車場は住民の一時避難所として提供。印南地区の住民を想定し、約1200人が入れるスペースを確保している。このほか庁舎にはバリアフリーの徹底や分かりやすい配置計画、太陽光発電・蓄電池整備、雨水の流水軽減のための調整槽などを備えている。
 各課の配置は現行の庁舎とほぼ同じで来庁者に対する窓口業務が多い住民福祉、税務、生活環境、出納室などは1階、総務、産業、建設、企画政策、教育、町長室などは2階、議場、議会事務局などが3階となっている。本年度中に詳細設計が終わり、27年度に工事請負費と用地購入費などを計上し、秋ごろ着工。29年3月末までに完成させ、同年4月1日から利用する。総事業費は庁舎建設費14億7800万円、用地購入・システム構築費など3億8000万円で合計18億5800万円。町の公共施設等整備基金、国の緊急防災・減災事業債の活用を予定している。設計は㈱岡本設計(岡本政仁代表)=和歌山市=。