県が先日発表した巨大地震による津波避難困難地域と被害想定で、日高地方の住民にとってはあらためて厳しい現実が突き付けられた。最悪のケースを見ると、南海トラフの巨大地震では県内で死者9万人、東海、東南海、南海の3連動地震でも1万7700人の犠牲者が出るとされている。日高地方だけで見ても死者は南海トラフで1万7200人、3連動でも2200人にのぼる。最悪のケースとはいえ、東日本大震災を経験したいま、「想定外」という言葉はもはや使えない。一人の死者も出さないため、一体何ができるだろうか。
津波から命を守るにはただ一つ、逃げるしかない。この唯一にして最大効果を発揮する逃げるという行動が、口でいうほど簡単ではないという大きな課題が浮かび上がっている。それは津波に限らず、ことしの夏、全国を襲った豪雨でも同じことがいえる。広島県の土砂災害を教訓に、各自治体が空振りでも早めの避難指示・勧告を出したところで実際避難という行動を取った人がどれだけいただろう。結局被害に遭わなかったのなら判断力に優れているともいえるが、では避難指示・勧告とは一体何なのか。
東日本大震災以降、日高地方でも津波警報・注意報が発令されたことがあったが、避難した住民はほとんどいなかった。小中学生たちは学校で繰り返し避難訓練を行っており、避難率先者の育成は着実に進んでいるといえる。子どもたちが大人になって避難意識の高い大人ばかりになればいいのだが、地震は明日起こらないとも限らない。
11月5日は津波防災の日。元気な働き盛りの大人は、子どもたちの足手まといにならぬよう、いま一度自分を見つめなおそう。 (片)

