㈱独立総合研究所代表取締役社長、青山繁晴氏の市民教養講座を取材。印象的なのは「熱さ」だった。日本を巡る問題を、情熱の赴くまま縦横無尽に論じた感がある
 とにかくエネルギッシュである。舞台からドンと飛び降りる。通路を歩き、観客に質問し、握手を交わす。自主講演会は最長6時間半。90分は短すぎるが、かといって効率よく話すわけではなく、濃密な余談が次々に飛び出す。語るべきことがあまりにも多く、自然に噴き出してくるのを止められない感じだ
 夫人で水産学博士の青山千春さんもすごい人である。高校の先生に東大進学を勧められるが、元海軍のトランペッターだった父から海の話を聞いて育っており、「船乗りになりたい」と資格の取れる大学を探す。すべて受験資格が男子のみだったが、唯一認めてくれた東京水産大学に入学。日本初の女性船長となった
 その千春さんが調査に取り組んでいるのが、和歌山県沖の海底に眠るメタンハイドレートだ。「燃える氷」と呼ばれる、新燃料になり得る埋蔵資源。実用化されれば日本は資源大国になる。夢物語のようだが、「日本は技術も労働者のモラルも№1」と青山氏は熱を込めて語った。開発は決して不可能ではない、と
 北朝鮮拉致問題、福島原発事故、沖縄戦の白梅学徒隊と語られたすべてに思いがこもっていたが、特にこの和歌山県で語られることに意義があったのはメタンハイドレートだろう。講演資料のトップには「紀州の海は日本を変えるか。世界をも変えるか」との問いがある
 現象をあらゆる角度から見つめ、日本と世界の今に迫る。視点の鋭さとボルテージの高さに圧倒されつつ、眠っていた向学心を呼び起こされる熱い講演会だった。    (里)