香港で大規模な学生デモが起こっている。事の発端は2017年に行われる香港政府の首長に当たる行政長官の選挙。普通選挙が導入される予定だったが、普通選挙とは名ばかり、立候補者は中国政府の支配下にある指名委員会で過半数の支持を得なければならないということだ。言い換えれば、中国政府が認めた候補者だけとなり、民主派の政治家は事実上立候補できないことになる。学生たちは民主的な選挙を求め、立候補要件の取り消しを訴えている。
日本で住んでいると、民主的な選挙はごく当たり前に行われ、それが尊いということは感じにくい。しかし、世界はそうではなく、軍が権力を持ち、民主化された選挙が実施されていない国も多い。
ところが、日本の地方における選挙をみてみると、その有権者の投票基準は実際にはあいまいだ。本来なら政策、政治的な実行力が判断基準となるべきだろうが、「親戚だから」「知人から頼まれたから」「同じ地区から出馬しているから」というような、政治と直接関係しない理由で投票したという話もよく聞く。投票者側が慎重に選ぶという姿勢も大切だが、候補者側の政策についても抽象的で分かりづらい面もある。時には対立候補が見当たらず、「無投票阻止」という理由だけで立候補する、低調な選挙戦がみられているのも事実だ。
いま香港の若者たちは、日本で行われているような民主的な選挙制度を勝ち取るために戦っている。しかし、日本の地方選挙の実態を知ればどう思うのか。本来、行政の方向性を決める選挙は住民にとって最大の関心事でなければならない。しかし、重いはずの選挙が軽々しく感じられてしまう。それでも民主的といえば民主的なのだが...。 (雄)

