日高高校陸上競技部OB会主催で、30日に行われた同校創立百周年記念事業。同部OBで五輪50㌔競歩3大会連続出場の小坂忠広さん(54)=石川県立小松特別支援学校勤務=が講演し、取材で話を聞かせてもらった。
 高校時代は全国駅伝に出場するなど長距離ランナーだった小坂さん。体育の教員になりたいと思い、進学した順天堂大でも3000㍍SCなどで好成績をおさめた。大学時代、マラソンの国内トップランナーと同じくらいの最大酸素摂取量(スタミナの指標の一つ)を有しながら、1万㍍のタイムでは3分の遅れがあった。フォームの矯正が必要と考え、指導者の助言を受けて取り組み始めたのが競歩。以降、メキシコ単身武者修行などを経て五輪出場を果たし、36歳のベテランになってから日本選手権を日本最高記録で優勝するなど国内のトップ選手として長期間にわたり活躍した。
 アスリートなら誰もがぶつかる伸び悩みや衰えを克服して長年、活躍できたのはなぜか。いくつかの要因を聞かせてもらったが、一番印象に残っているのは「伸び悩みには原因があるのは間違いない」という部分だ。高校生選手の質問に答えたのだが、個人個人で違う伸び悩みの「原因」を肉体的、心理的などありとあらゆるデータなどから調べ上げ、それを一つ一つ解決していくのが打ち勝つ鍵と話した。やみくもに練習を重ねても結果につながらない。己を知れば百戦危うからずといったところだろうか。
 「伸び悩み」。人生では勉強でも仕事でも、誰でもいつかはぶつかる壁である。いろいろと参考になる話をたくさん聞くことができ、アスリートではない筆者にも貴重な時間だった。     (賀)