美浜町の独立行政法人国立病院機構和歌山病院(南方良章院長)で28日、外来診療・管理棟南側に新築する一般病棟・重症心身障害児(者)病棟の起工式が行われた。県の新しい南海トラフ巨大地震の津波浸水想定等を受け、当初の一般病棟と重心病棟の2棟建設計画を見直さざるを得なくなり、再設計等を経てようやくの着工。新病棟は一般患者と重心患者も一緒に入る5階建てで、来年11月の運用開始を目指す。
 和歌山病院の病棟建て替えは、以前の一般病棟と重心病棟の老朽化に伴い、外来診療・管理棟南側の古い病棟を取り壊した跡地に、3階建ての一般病棟(150床)と平屋建ての重心病棟(120床)を建て替える計画でスタート。平成22年3月の設計監理業務委託のあと、基本設計、実施設計の本部承認等を経て24年夏に着工、25年夏には完成の予定だったが、東日本大震災後の国と県による新しい南海トラフ巨大地震の被害想定発表を受け、抜本的な計画見直しが必要となった。
 昨年3月に発表された県の津波被害想定による病院敷地の最大浸水深は、従来の内閣府発表の2㍍から5㍍となり、通常は災害時に避難することを前提に平屋建てが原則の重心病棟も、高層化しなければならなくなった。別の場所への移転も含めて検討した結果、新しい病棟は1階部分がピロティ(津波が抜ける空間)で、5㍍以上に病室等を設置する5階建ての耐震設計とし、2~4階部分に一般・重心患者合わせて310床が入る設計となった。
 5階は重心患者の療育訓練施設が入り、屋上には災害時用非常電源、高架水槽等を設置し、完成後、現在使用中の病棟を取り壊した跡地にヘリポート等を整備する。
 新病棟の本体工事費(設計監理費除く)は約37億6000万円。契約業者は設計監理が梓設計(本社・東京都)、建築工事が㈱イチケン(本社・東京都)、電気設備が㈱九電工(本社・福岡市)、機械設備が東洋熱工業㈱(本社・東京都)。
 28日の起工式・安全祈願祭には工事関係者と南方院長、楠山良雄名誉院長ら病院幹部合わせて約30人が出席した。