美浜町の陸上自衛隊和歌山駐屯地(中村祐治司令)は今夏、世界一過酷なレースともいわれる富士登山駅伝競走大会(自衛隊の部)に24年ぶりに出場した。御殿場陸上競技場から富士山山頂を往復するコースは標高差が3000㍍以上、距離は11区間で47.11㌔。レンジャー出身のつわものがそろう強豪チームと渡り合い、6人が懸命にタスキをつないで見事、4時間35分で完走した。
 富士登山駅伝は世界に類のない山岳駅伝、御殿場の夏の風物詩として知られ、世界一の標高差3199㍍は気象変動が激しく、酸素も薄いなかで高山病になる選手もいるという。第三〇四水際障害中隊を主力とする施設隊の和歌山駐屯地には約100人の隊員がおり、約1万6000平方㍍の敷地面積は全国の陸上自衛隊駐屯地の中で最も小さい。初めて訪れた人からは「隣の老人ホームの方が大きい?」(実際は駐屯地の方が約2倍大きい)という声が聞かれることもあるが、ことしは池崇志陸士長(21)、松窪義朗二等陸曹(32)、姫野力哉三等陸曹(33)の3人のレンジャー経験者を中心に、選りすぐりのメンバー8人で24年ぶりに出場を申請。主催者によるタイム査定をクリアして出場が認められ、先月22日から静岡の滝ケ原駐屯地に乗り込んで試走を重ね、今月3日の本番では6人で見事完走、翌年の出場権が与えられる4時間40分以内でゴールした。
 監督の竹本晴彦二等陸曹(32)は「世界遺産に登録された富士山を走ることに感謝し、大会に臨みました。やはり日本一の富士山はとても過酷なものでしたが、各選手が必死にタスキをつないで、ゴールしたときの喜び、感動は他のレースでは味わえない最高のものでした」と話している。
 チームの順位、区間順位等はまだ未確定。和歌山駐屯地のメンバーは次の皆さん。
 1.11区=竹本晴彦 2.10区=森勇樹三等陸曹 3.9区=姫野力哉▽4・8区=小川隆通一等陸士 5.7区=松窪義朗 6区(山頂折り返し)=池崇志 補欠=佐々木聡志三等陸曹、米坂俊彦陸士長