前町長死去に伴い、5月6日告示、11日投開票の日程で行われる日高町長選は、町議同士一騎打ちの選挙戦へ突入することがほぼ確実となった。先月19日に前町長の退職が決まり、投開票まで2カ月もない突然の短期決戦。4年間の町のかじ取り役を選ぶのには短すぎるが、だからといって単なる人気投票的な選挙で終わってほしくないと強く願う。
 両氏は、すでに出馬表明を終え、公約を発表した。公約を比較してみると、大地震の防災対策、子育て支援や高齢者福祉の充実、農漁業・商工業の振興、県道・町道整備とほとんど違いがない。「中町政」踏襲ということにも口をそろえる。2人とも3月議会では前町長の提出した一般会計予算に賛成しており、前町政継承の立場を打ち出すのは仕方がないことだが、あまりにも「継承」の意識、アピールが強すぎないか。政策まるかぶりの状況に早くも有権者の間で「争点のない選挙」「どちらの人がなっても同じ」との声が広がっていることは一番の気がかりである。
 選挙とは、有権者の声を聞いた上でお互いの政策をぶつけ合い、よりよい方向を見つけていくことに大きな意義があると思う。「お願いします」だけで、勝敗を決しても町の未来はよくならない。人気投票的な選挙はしこりを残すことにもなりかねず、不安が募る。
 短期決戦といってもまだ有権者に自身の思いを伝える機会はたくさんある。立候補予定者にはもう一度、自身のカラーというものを考えてもらいたい。人が変われば、やることが変わるのは当たり前。有権者も当然そう思っているのだから。夢、ビジョンを語れるというのもトップの資質だと認識し、有権者の関心をひく選挙戦にしてもらいたい。    (賀)