今月6日に神戸市を出発し、リヤカーを引いて日本一周の旅をしている加藤英生さん(71)=神戸市在住=は10日に日高入り、御坊市で宿泊した。
 35年にわたって趣味のマラソンで体を鍛えている加藤さんは、ことし3月に理容師を引退したのを機に長年の夢だったリヤカーの旅を決意。日本列島を東周りで進んで2~3年後のゴールを目指している。リヤカーを使うのは「どんなに厳しくても自身の力で引くしかなく、楽な道もあれば厳しく険しい道もある人生と似ているため」という。
 重さ20㌔以上のリヤカーを引っ張り、「日本一周」の旗をなびかせて一日30~40㌔のペースで進行。10日に日高地方に入り、オークワロマンシティ近くで会った市民の勧めで宝の湯で疲れを落とし、日高川河川敷で宿泊した。厳しい寒さと突風に見舞われ「日本一周」の旗を吹き飛ばされたが、一般女性から「頑張って」と声をかけられて2㍑のペットボトルのお茶を差し入れしてもらい、地域の人々の温かさに心を打たれた。「水越峠は本当に上りがきつかった。フルマラソンで100回以上完走するなど鍛えていたからこそ乗り越えられた。日高地方はとても美しくのどかなところ。きょう(11日)は印南から南部への海岸線を楽しみたい」と話し、「地域の人々との出会いを楽しみながら、日本中の同じ年代の方々に〝まだまだやれる〟という元気と希望を与えたい」と意気込んでいる。