西日本電信電話㈱(NTT西日本)は、津波避難ビルとして御坊市と協定を結んでいる薗地内、御坊別館ビルのドアを、外部から解錠できるよう特殊な改修を行う。いまは鍵を保管している地元区長らが災害時に開けることになっているが、鍵がなくても入れるようにしてスムーズな避難に役立てる。費用の30万円は同市の全額負担で、工事は今月下旬から始まり、来月上旬にも完成する。
 市街地には津波の一時避難ができるような高い建物や場所が少ないため、4階建ての御坊別館ビル(高さ15㍍、340人収容可)は貴重な避難場所となっており、御坊市は地震発生時に活用できるよう、NTT西日本と平成24年1月に災害協定を締結。同ビルには外階段がなく、裏手のドアから入るための鍵を地元区長3人と市役所が保管している。しかし、地元住民らが避難訓練を行う上で、「鍵の到着を待っていてはスムーズに避難できない」などの不安の声が上がり、外部から鍵がなくても入れるよう、世耕弘成参議や二階俊博代議士の秘書を通じてNTTと市に要望が出されていた。
 ただ、防犯やいたずらなどの問題もあるため、外部からだれでも解錠できるようにするには難しい面もあったが、NTT側が関係業者らと相談して方法を工夫。ドアの一部を破って鍵を回せるようにする。その際には警備会社にも連絡が入るようにし、平常時のセキュリティーにも万全を期す。解錠の仕組みについて市担当課は「改修工事が終わったあとに地元住民への詳しい説明を行いたい。みんなに開け方を知ってもらわなければならない半面、いたずらなども心配。慎重に情報提供していきたい」と話している。