県の特産の梅干しなどを使った料理をイタリアにアピールしようと現地で試食会が開かれ、みなべ町晩稲の㈱紀州ほそ川(細川清会長)など県内の6事業者が参加し、同国の料理人らに紹介した。テーブルに並んだ梅料理や梅酒などが好評で、細川会長は「イタリア人に合う味や料理方法を提案することで、梅の販路が広がる可能性がある」と期待している。
 県出身で東京都在住の料理研究家貝谷郁子さんが企画し、「美味しい和歌山イタリアへ~視察旅・試食会」をテーマに開催。県内の食材などの産品の良さをイタリアで広めようと県内の事業所に声をかけて実現した。参加したのは㈱紀州ほそ川のほか中野BC㈱(海南市)、かんじゃ山椒園(有田川町)、有田川町商工会(同)、湯浅醤油㈲(湯浅町)、合弁会社丸正酢醸造元(那智勝浦町)。
 確固たる食文化のあるイタリアで和歌山県の味がどう評価されるか、販路開拓の可能性があるのかを探る目的で実施。トスカーナ州の料理学院とエミリアロマーニャ州のサンジャコモバルサミコ酢醸造の2カ所で試食会が開かれた。梅干し・柚子酢・ルッカ・オリーブオイルのドレッシングの「サーモンのマリネ」「パルミジャーノチーズ(山椒ジャム・ハチミツ梅干しと栗ハチミツの甘いソース)」など10数品のほか、梅酒や日本酒など並び、現地のワイン醸造家、農家レストラン経営者、地元メディアの記者らが味わった。1回目の料理学院では約50人、2回目のサンジャコモバルサミコ酢醸造では約20人だった。どの料理も好評で、梅干しを使った料理についても、酸味などに抵抗ない様子でおいしそうに食べていたという。梅酒も「おいしい」と好評だった。貝谷さんは「これまでにもイタリアで和歌山の食材を紹介して高い評価を受けていたが、今回は予想以上に好評だった」、細川会長は「梅干しを使った料理がイタリアで好評をいただいたのが何よりの収穫。梅干しをそのまま食べてもらうのではなく、現地の人に合った料理に加工することで販路を広げる可能性があるのではないか」と話している。