国保日高総合病院透析センターの常勤専門医が田辺の紀南病院へ転勤となり、昨年9月から非常勤医師による週3回の交代勤務となっている問題について、御坊市選出の中村裕一県議が5日の議会本会議で県立医科大の対応を厳しく批判した。
 中村議員によると、県立医科大の腎臓内科学講座は紀南病院の透析科常勤医3人のうち1人が欠けたという理由で、日高病院の唯一の常勤専門医を紀南病院へ異動させ、日高病院には非常勤の医師3人を月水金曜に派遣。日高地方では現在、日高病院など4つの医療機関で人工透析が行われており、合併症など重篤患者が発生したときは総合病院の日高病院が対応することになっているが、今後、そのような事態が起きた際に専門医がなければ受け入れることができない。
 中村議員は「昨年末、医大の腎臓内科学講座に患者団体が1200人以上の署名を添えて常勤医師の派遣を嘆願したところ、『中紀の重篤患者は紀南病院へ、和歌山市北部の重篤患者はりんくう医療センター(大阪)へ行くように』との説明があったという。このような重要な決定が医大の医局だけの都合で行われたことに憤りを感じ、和歌山市北部の県民に大阪へ行けとは聞き捨てならない。こんなことがまかり通るのであれば、地域医療計画はいらない。医師派遣は本年度から地域医療機関医師適正配置検討委員会で行い、知事は困難なときは自ら乗り出して調整するといっていたが、果たして機能しているのか」と医大の対応を批判した。
 仁坂知事は「『大阪へ行け』といった人がいるという話は注意をしなければいけない。県の見解とはまったく違う。医大全体の医師が足りないなか、他の大学にも手を回して、私も含め、県が中心となって必死で医師を探し、なんとかつないでいるというのが現状」とし、「ご指摘の腎臓内科も数が足りず、田辺の1人引退を受け、拠点化として日高の医師を田辺に持っていった。議員ご指摘のような事態にもちゃんと備えなければいけないので、日高は非常勤の方も集めて対応している。今後もしばらく苦難は続くと思うが、特定の地域が割を食わないよう、地域の目配りをしながら頑張っていきたい」と理解を求めた。