米大リーグ、アトランタブレーブス国際スカウト・スーパーバイザーの大屋博行さん(48)が先日、由良町を訪問し、紀州由良シニアのナインに野球指導を行った。将来の球界を担う選手の野球指導には長年、スカウト活動の傍ら取り組んでおり、紀州由良シニアとの関係も16年ほどになるそうだ。プロのトップレベルやダイヤの原石を間近で見続けている人からいろいろな話を直接聞ける機会は、めったにない。子どもたちだけでなく野球ファンの筆者にとっても有意義な時間だった。
 10代の時にアメリカで野球経験がある大屋さん。指導の最中には「サイコー」「ナイス」などと大きな声を出し、子どもたちをやる気にさせるのが大変うまい。この日は投球指導がメーンで、ステップの仕方、腕の振りなどでアドバイスを送り、子どもたちも熱心に聞き入っていた。
 1時間半ほどの滞在で、一番印象に残ったのは野球に対する取り組み姿勢の話。「プロ野球選手になりたい人」と問われてほとんどの子どもたちが挙手する中、「何かになりたいと思ったら、絶対にその気にならないとだめ」と目標を持つことの大切さを訴えた。その上で、「常に練習では限界までやること。すべてにおいて好奇心を持って、目標を立てて、努力をすること。その一歩一歩の積み重ねがプロ野球選手に近づいていく。人に勝つためにはまず自分に勝とう」と呼びかけた。
 プロ野球選手や甲子園に出場した選手たちを数多く取材してきた。その選手たちの共通点は、早くから目標を定め、その目標に向かって努力を欠かさなかったことだろう。春は始まりの季節。中学校、高校に進学して何かを始めようと思う人たちに参考にしてもらえればと思う。 (賀)