先日由良町であった家庭教育講座で、講師を務めた県レクリエーション協会副理事長の濵出將俊さん(66)=江ノ駒=から昔ながらの遊びが紹介された。竹馬、コマ回し、めんこ、カルタ、すごろく、竹とんぼづくり、カニ釣りなど全部で57種類。ちょうど40歳の筆者なら半分以上は体験したことがあるが、いまの子どもたちは果たしてどうだろうか。
 昔ながらの遊びにはコマ回しなど技を競い合うもの、カルタなど勝ち負けを決めるもの、紙鉄砲づくりなど創作にチャレンジするもの、カニ釣りなど自然を体験するものなど、それぞれに楽しみ方があるが、ほとんどは近所の子どもたちが集まり、複数で行うという共通点が存在する。リーダーシップのあるガキ大将がいて、年下の子どもたちの面倒を見ながら遊ぶ。濵出さんはこれを「群れ」と表現。この「群れ」の中で子どもたちはいろんなことを学んで成長していくと訴えていた。
 ゲームは複数ででもできるが、「群れ」で遊ぶというほどではない。子どもたちがテレビ画面に向かってやっているのを見たことがあるが、ほぼ黙ったままで楽しいのか楽しくないのか周囲には伝わらない。現代社会では友達同士のコミュニケーションツールの一つというのは間違いないが、外で遊べばもっと楽しいのにと思わずにはいられない。
 「人は人により人になる」。そんな言葉がある。幼い頃からいろんな個性を持った人たちと接する中でこそ、人として成長していけるという意味であろう。異性同士の関係でも面倒くさいと、20代のセックスレス化まで社会問題になるこのご時世。遊びを通じてでも子どもの頃から人間関係を養える機会をより多く作ってあげることが大切と思う。    (賀)