宇宙の神秘には興味があるが、恥ずかしながら和歌山大学に平成22年から宇宙教育研究所が設立されていたことは知らなかった。大学にある施設としては国内最大規模となる直径12㍍のパラボラアンテナも設置されており、全国の宇宙関連技術、教育ツールの開発拠点として取り組みが進められている。そんな和大で今度は全国に先駆けて宇宙からの視点や情報を防災に生かす研究を進めることになり、その出発となるシンポジウムが去る22日に開かれた。
 宇宙からの視点や情報を防災に生かすというと何のことか分かりづらいが、少し説明すると人工衛星を使って地上の画像や位置情報、降雨量などのデータを収集し、例えば大雨に伴う土砂災害や巨大地震の予知、被災状況把握に役立てるということらしい。防災対策はもちろん、研究を教育に生かし、人工衛星関連の開発、生産で産業振興にもつなげるのが狙い。なるほど、現在さまざまな防災対策があるが、宇宙からの情報を役立てる取り組みは盲点になっていたといえる。
 さらに付け足すなら、他国にも研究技術を広めて連携して情報を共有すれば防災対策の強化にとどまらず、国際交流にも一役買ってくれそう。それ以前に先進的な研究ということで和歌山に国内外から視察に来るだろうから、和歌山をPRしてひいては観光客誘致につなげる絶好のチャンスにもなるのではないかと思う。
 あと、日高地方には日高川町にかわべ天文公園がある。どんなことができるのか分からないが、この機会に天文公園としても和大と連携して、何か盛り上げていくような取り組みをしてもいいのではないだろうか。     (吉)