みなべ町では、梅が本格的な開花時期を迎えた。2月初めに雨が降り、その後に暖かい日が数日続いたのが開花を早めた要因だろう。平野部では満開近い園地もあり、遠目に眺めると、薄いピンク色のじゅうたんが敷かれたようにも見える。まだまだ寒い日が続いているが、眺めは早春。町内を車で走っていても、車内まで梅の香りが漂ってきそうな雰囲気。日本一の梅の里でしか味わえない光景だ。
 南部梅林と岩代大梅林も観梅客でにぎわい始めている。何度か家族サービスで梅林を訪れたこともあるが、ポカポカ陽気の日に行くと気持ちがいい。一面に梅の花が広がる園内でのんびりと過ごすこともできるし、付近の売店で地元の農家らがつくった漬物などを買うのも楽しい。さらに入園料金が200円や250円で、家族で出かけても低料金で済むのも魅力の1つだ。
 11日の建国記念の日には充実したイベントが展開され、南部梅林では梅酒コレクション(無料試飲会)、梅料理キャンペーン、梅茶サービス、もち投げ。岩代大梅林では輪投げやダーツなどを楽しむ「縁日」、由良町出身の歌手藪下将人さんのライブが催される。無料のイベントも多く、入場料金を払っても元を取ることができるかもしれない。
 「梅一輪一輪ほどの暖かさ」。この句を詠んだのは江戸時代前期の俳諧師、服部嵐雪。インターネットで意味を調べると、「梅が一輪咲き、それを見るとわずかではあるが、一輪ほどの暖かさが感じられる」と書かれている。梅林の花は嵐雪が言う1輪だけでない。満開に近いほどの花が咲き誇っている。足を運ぶと、身も心も春の暖かさを感じることができるだろう。(雄)