県が1月末、串本町潮岬沖でメタンハイドレートの調査を行い、存在の目印となるメタンガスの気泡の密集帯「メタンプルーム」の兆候が確認された。メタンハイドレートは石油や天然ガスに代わる次世代エネルギーとして注目されており、県内で多く見つかればエネルギー供給基地として産業が発展し、雇用の創出、地域活性につながっていく可能性があり、期待されている。
 そんな日本周辺海域で多く確認されているメタンハイドレートだが、回収に向けた取り組みはどうなっているのか。先日、「和高専・次世代テクノサロン」で、メタンハイドレートについて最先端で進めている独立行政法人海洋研究開発機構の海底資源研究プロジェクトリーダーの木川栄一さんから回収方法などを聴いた。
 まずメタンハイドレートとは、メタンガスと水がくっついてできるドライアイスのような物。地上では作ることが難しいが、海底では容易に生成される。回収にはメタンハイドレートをそのまま取り出すのでなく、海中で水とメタンガスに分離させて取り出す方法が主流のようだ。熱湯で温度を上げたり、圧力を下げるなど、木川さんはこれまでの回収の試みを紹介した。講演で印象的だったのが、「1番」へのこだわり。海底掘削でもワールドレコードを意識していたり、有人潜水調査船の潜水能力でも中国がもつ記録の更新へ意気込みを見せていた。
 メタンハイドレートの商業化はまだ先になるが、実現すれば日本が資源大国になることも不可能ではない。今回の講演で日本の技術者の熱意と自信、高い意識を感じることができ、近い将来の新エネルギーの誕生へさらに期待が高まった。  (城)