山形県鶴岡市の民俗芸能で国の重要無形文化財、黒川能「下座」による公演「月の道成寺」が19日夜、日高川町の大成中学校体育館で行われた。
 数々の道成寺関連イベントを手掛けているおいでよ日高実行委員会の主催。悪天候のため会場を道成寺から変更した。演目は、安珍清姫伝説を基にした道成寺ものの「鐘巻」。安珍清姫の時代から時を経た鐘供養の日、女人禁制の場に清姫の化身、白拍子が現れるという物語。舞を見せるならという条件で参拝を許され、舞を披露する白拍子。僧らの隙を見て落下する鐘の中に姿を隠した。僧らの祈祷によって持ち上がった鐘の中からは白拍子が鬼女となった姿で登場。僧に挑みかかるが、祈りに屈した。上野由部さん演じる白拍子の華麗な舞、乱拍子(静かな舞)に約300人の見物客はくぎ付け。後半の鐘入りは迫力満点、鬼女と僧の対決シーンは圧巻で、見物客は固唾(かたず)をのんで見入り、伝統芸能の魅力に酔いしれた。