先週から今週にかけて全国紙で、注目の消費増税について来年4月に8%へ引き上げることを首相が「決定」、もしくは「決断」との報道が次々あった。待てよ、確か首相は10月に判断すると言ってなかったか。そんな記憶があり、記事の中身を確認してみた。「首相3%上げ決断」と書いていた新聞は「秋には思い切った設備投資減税を行う」と紹介してはいるものの、「3%上げます」というかぎかっこ付きの文章はどこにもなかった。ではなぜ、「決断」と報道がなされたのか。
 某ニュースキャスターのコラムでは、こんな風に推測されていた。この報道は安倍政権が掲げた「観測気球」。誰かがメディアにリークしたという。メディアにこの時期に増税が「決定」とリークすることで国民、株価などの反応を見てみたかった。10月にいきなり首相が「3%上げます」と表明して混乱すれば、ダメージが大きい。もし事前報道でドタバタした場合「まだ何も言って(決めて)ませんが」と逃げの手が打てるというのだ。なるほど、確かにそれもあると思った。
 アベノミクスが好結果、さらに参院選大勝、五輪招致成功と順風満帆の安倍政権。筆者は、まずないだろうと思いつつも、3%上げリークには逆に2%上げと上げ幅縮小の可能性もあるのではと疑う。人気取りにはサプライズが必要。憲法改正に向けても好調を維持したい安倍政権だからこそ3%上げ以外の表明がないと限らない。
 消費増税報道だけを見てもいろんな見方ができる。記事は出どころはどこか推測し、書かれていない部分まで「読む」と一層興味深くなる。皆さんも時間がある時に試してみてください。新聞がこれまで以上におもしろくなるはずです。    (賀)