11日朝、みなべ町内で国の特別天然記念物に指定されているコウノトリ7羽が確認された。主に谷口地内のうめ振興館付近の南部川で羽を休め、カメラマニアや愛鳥家らが驚かさないよう気をつけながら撮影していた。足に目印の輪があったことから兵庫県立コウノトリの郷公園(豊岡市)が放鳥したコウノトリとみられ、約200㌔の距離を飛んで来たことになる。
 昔は日本全国に普通に棲息していたが、明治期以後の乱獲、巣をつくる木の伐採などにより棲息環境が悪化。太平洋戦争前後の食料不足の中で食用にされたこともあり、昭和31年には20羽にまで減少。同年に国の特別天然記念物に指定された。その後、自然界に棲むコウノトリは絶滅したが、兵庫県豊岡市で人工飼育していたコウノトリとロシアから譲り受けた個体を交配させるなどして数を増やし、平成17年から昨年までに計28羽を放鳥。自然界で増えるなどして、現在では野生の鳥は82羽が確認されている。コウノトリの郷公園では99羽が飼育されている。
 地元住民らによると、10日午前9時ごろ、筋地内の学校橋周辺で確認。その後しばらく見えなかったが、数時間後には近くのうめ振興館前の南部川に舞い降りていた。全長約1㍍。集団で行動し、周辺を飛び回ったり浅瀬でエサをついばむようなしぐさを見せていた。カメラ愛好家の池添正直さん(83)=西本庄=は「南部川にコウノトリが来ていると聞いて、驚いて駆けつけた。無事に写真に収めることができてよかった。幸せを運んでくる鳥と言われているので、みなべ町にもいいことがあるのかもしれない」と話していた。夫婦で写真を趣味とする井口富雄さん(65)、喜代美さん(65)=西本庄=も、2人でそろってコウノトリの姿をカメラに収めていた。今月は和歌山市でも6羽が確認されているという。