日高地方で死者・行方不明者２９８人を出した昭和２８年の７・１８水害から１８日でちょうど６０年。犠牲者の冥福を祈ろうと、市内薗の橋本克彦さん（７７）がことしも、天田橋で手を合わせて供養した。
１７歳だった橋本さんは、天田橋に避難したが、橋げたの両端が流されたため孤立した。濁流となった日高川を家や人が流れていくのをただ見ているしかなかった。「たらいに子どもと妻を乗せ、父親らしき人がつかまって流されていたのはいまでも忘れられない。どうすることもできなかった」と悔しさをにじませる。橋の上で一晩明かし、翌日、水かさが減ったところを脱出した。
毎年７月１８日に供養しており、ことしも天田橋の上から酒を流し、手を合わせた。橋本さんは「あんなことは二度と起こってほしくない。いまは巨大地震・津波対策がいわれています。多くの人がスムーズに避難できる態勢を整えてほしい」と話している。
