第23回参議院通常選挙は21日の投開票まであと2日。三つどもえの和歌山県選挙区(改選数1)は自民党(公明党推薦)の現職世耕弘成候補(50)=新宮市新宮=がほとんど不在ながらも、抜群の知名度と強固な組織力で他候補を圧倒。追いかける共産党の新人原矢寸久候補(61)=白浜町堅田=、幸福実現党の新人久保美也子候補(52)=和歌山市大谷=はアンチ自民、"不戦敗"となった民主、日本維新の会の浮動票の取り込みへ、いずれも終盤は県都和歌山市を中心に支持拡大を図る。
 幸福実現党の久保候補は憲法9条改正、国防強化、消費増税ストップ、高齢者福祉の充実などを中心に、県内全域で街頭演説等を展開。陣営は「4年前の立党以来、地道に活動してきたことで、今回の選挙を通じて『私たちが本気であること』が伝わっているのを感じる。久保自身も4年前の衆院選のときに比べ、格段に支持者は増えている」と話す。19、20日は和歌山市の大手企業前、JR和歌山駅前などで辻立ち等を予定している。
 共産党の原候補は憲法改正、消費増税の絶対反対を訴え、脱原発や高齢者福祉の拡充、地域産業の振興で安倍政権との対決姿勢を強調。陣営は「日増しに街頭での有権者の反応がよくなっているのを感じる。昨年末の衆院選に比べれば、支持者は確実に増えている」という。18日夜には和歌山市の小学校で最後の個人演説会を開き、20日まで連日、同市を中心に回る。
 4選を目指す世耕候補は6年前と同じく、安倍政権を支えながらの選挙戦。今回は官房副長官として、公務と他候補の応援で全国を飛び回っているが、党の国会議員や県議会議員が先頭に立って、各市町村の後援会とともに候補者の不在をカバーしている。永田町では「安倍総理の背後霊」と揶揄されながら、自身は「守護霊のつもり」の首相側近として、メディア露出も多い抜群の知名度から無党派層にも支持が広がり、スタートからの優位は揺るがない。本人は18日が九州、19日が東北、奈良で、最後の20日は田辺市から和歌山市まで北上する。
 ネットやSNSも積極活用 選挙戦は民主、日本維新の会が候補者擁立を見送ったこともあり、盛り上がりに欠けるが、3候補はツイッターやブログ、フェイスブックの新たな武器を積極活用。投票率は下がるという見方が多いなか、各陣営とも「少なくともマイナスにはならない」と、若者の支持獲得、投票促進に期待している。