陸上自衛隊和歌山駐屯地の隊員2人が、陸自で最も過酷といわれるレンジャー訓練に参加し、ともに最後まで残った。肉体と精神を極限まで追い込み、食糧も水もない戦地で戦い、生きるための強さを身につける。キューブリックの『フルメタル・ジャケット』の海兵隊訓練所を思い出したが、2人も「まさにそんな感じでした」と話していた。
 参院選は最大の焦点である衆参のねじれ解消が確実。集団的自衛権については、現在、憲法9条に絡んで政府の憲法解釈が「権利はあるが行使できない」となっているが、自民党は「政府において集団的自衛権を含む必要最小限度の自衛権行使を明確化し、そのうえで国家安全保障基本法を制定する」という。目の前に軍事的脅威を突きつけられているいま、集団的自衛権の行使なくして国防はありえない。
 反日の中国と韓国はもちろん、このところ妙に静かな北朝鮮も、いつ核ミサイルを撃つか分からない。居酒屋でもオッサンの熱い憲法論議がみられるようになり、この日本人の国防に対する意識の高まりはある意味、中華2国と北朝鮮のおかげともいえる。
 戦争を「有事」、歩兵を「普通科」と呼び、階級の大佐、中佐、少佐は「一佐、二佐、三佐」といいかえ、涙ぐましいまでの努力でかつての軍隊のイメージを払拭しようしてきた自衛隊。しかし、戦争を恐れるあまり、自衛隊を社会から排除するような無理を重ねてきた結果、国民の正しい理解が難しくなっていないか。
 レンジャー訓練も遊びではなく、目的は国民の生命・財産、領土を守るという気高く尊い使命である。その本分遂行の環境を整えることは、日本と国民を守るためであり、断じて戦争を起こすためのものではない。 (静)