年齢を重ねてくると、体に不具合が生じてくるし、運動能力も低下する。頭の中では「これぐらいは大丈夫」と思っていることでも体がついてこない。趣味の釣りに出かけても、以前なら簡単に岩から岩へと飛び歩いたが、最近は昔と同じようなことをすると大けがの元。1つ1つの動作が慎重にならざるを得ない。加えて物事の決断が鈍ってくる。目標を立てる場合でも、まずは自分の体力や運動能力と相談し、行動に移す前から「これは無理かも」とすぐに簡単に諦めてしまうこともある。
 冒険家の三浦雄一郎さんは、史上最高齢の80歳と7カ月でエベレスト(8848㍍)の登頂を果たした。70歳、75歳と過去2回にわたっても成功している。体力的に充実している20~30歳代の青年でもエベレストに登頂することは至難の業だ。だから常人離れした鉄人のような体を持っている人なのかと思いきや、そうではないらしい。実際はまったく逆で、50代後半の頃は身長164㌢で体重が85㌔を超えた肥満体型だったそうだ。高血圧、高血糖、不整脈などの症状まで出始めたこともあったという。言葉は悪いが、そんなどこにでもいそうなおっさんが「もう一度、エベレストに登りたい」という気持ちにかき立てられ、トレーニングを重ねて三度目の登頂に挑んだという。
 常識的に考えれば、80歳でエベレストに登頂できる可能性はゼロに近いぐらい低く思える。しかし、成功するしないに関わらず物事へのチャレンジは何歳になっても十分に可能だ。「もう年だから」と最初から諦めてしまわず、気持ちから若返って何かに向かって挑戦してみてはいかがだろう。  (雄)