日本三美人湯で知られる田辺市龍神村の龍神温泉(龍神村龍神)の温泉水に、肌をみずみずしくしっとりさせる保湿効果があることが、龍神観光協会らの研究で分かった。入浴剤製造大手の㈱バスクリン(本社・東京)、県立医科大学(和歌山市)との共同研究で、同温泉の温泉水と同等のph8・4の弱アルカリ性の温水と比較したデータ。同協会は「龍神温泉の美肌効果が科学的に立証され、お墨付きをいただいた。今後は今回の結果をPRに役立てていきたい」と話している。
 龍神温泉は「肌がすべすべになる」と古くから人気があり、島根県の「湯の川温泉」、群馬県の「川中温泉」とともに日本三美人湯の一つ。観光協会では美肌効果を科学的に立証しようと、昨年11月から㈱バスクリン、県立医科大学と共同研究を開始した。龍神温泉は弱アルカリ性のph8・4で、実験では同温泉と同じphの温水を使って比較した。男女各6人が5分間ずつ両方に腕をつけて皮膚の水分量や蒸発量などを分析した結果、龍神温泉水は通常のアルカリ性の温水と比較して保湿力が高く、肌の表面に3倍近い水分を含み発散量が少ないことが分かった。一般的に、弱アルカリ性の水は洗浄力は高いが保湿力が低いという性質がある。しかし、龍神温泉水は洗浄力がありながら保湿力も高いという結果となった。
 このほか、同村在住の女性18人に2週間連続して「龍神温泉元湯」に入浴してもらうという実験も実施し、気分や肌の変化について感じたことをアンケート調査した。その結果、「疲れや緊張感が軽減し、活気が向上した」「肌質の改善や睡眠に良い影響を与えた」との回答があった。観光協会では「今回の検証結果を活用し、健康増進や持続可能な温泉地の発展につなげていきたい」と話している。
 泉質はナトリウム炭酸水素塩泉で源泉温度は48・2度。 効能は慢性皮膚病、神経痛、筋肉痛、 関節痛、慢性消化器病、 切り傷、 火傷など。