君主が定めた明治の大日本帝国憲法、GHQがつくった昭和の日本国憲法に続き、日本人の手による自前の憲法をつくろうと、安倍首相が憲法改正を進めようとしている。改正の発議要件を衆参両院の「3分の2以上」の賛成から「2分の1」に改める96条の見直しを訴え、夏の参院選の中心的な公約にするという。
 閣僚の靖国参拝がまたぞろ、中韓の干渉を招いている。国会の内外で、同じ日本人から批判もあるが、安倍首相は「脅かしには屈しない」と真っ向反論。日本軍による南京大虐殺や従軍慰安婦強制連行といった中韓の外交カードは、正しい歴史認識、確固たる国家観を持たぬあなたがたがつくりあげたのではないか。内心はそう思っているにちがいない。
 首相や閣僚の靖国参拝によって、感情を逆なでされる「アジア諸国」とはどこの国のことか。一党独裁を守るべく、愛国主義教育という名のすさまじい反日教育を推し進める中国。戦時中の内閣や軍の資料、新聞記事などからも証拠がいっさい見つかっていない「日本軍による従軍慰安婦強制連行」を突きつけ、一方的に謝罪と賠償を求め続ける韓国。台湾やベトナム、フィリピンなど、中国の軍事的脅威に怯える親日国からすれば、同じアジア諸国に含まないでというのが率直な思いだろう。
 外からの圧力を受けたとき、世論は民族の誇りをかけて徹底抗戦を主張する意見が主流となり、民主主義の政治は強硬路線へと進まざるを得なくなる。が、安倍首相が目指す国家は決して帝国主義の復活ではない。根拠なき批判=中傷に屈する土下座外交を改め、否定すべきは否定し、国際社会に自国の正しさ、相手の不正を主張できる普通の独立主権国家である。  (静)