みなべ町の保健師でふれ愛センター長も務めていた故寺本敦子さん(享年55)の家族らは30日、同センターに福祉用車両と車椅子を寄贈した。それぞれ「あっちゃん号」と名付けられ、車輌には寺本さんを描いたイラストもデザイン。寺本さんが亡くなる前に「ふれ愛センターに車を贈りたい」と話していたことを実現した。妹の得津雅代さん(52)は「姉の言葉を形にすることができた。お世話になった人たちに恩返しをしたかったのでしょう」と寺本さんを偲んでいた。
 寺本さんは昭和58年に旧南部川村の保健師として採用され、 平成14年からはふれ愛センター (保健福祉センター) のセンター長を務め、 福祉の充実に尽力した。
 昨年12月に病気で急逝したが、 10月ごろに 「ふれ愛センターに車を贈りたい」 と家族らに話していたという。 妹の得津さんらは、 その時は 「何を言っているの」 と答えていただけだったが、 亡くなってから寺本さんの思いを実現させたいと、 今回、 福祉車両 (軽自動車) と車椅子各1台を寄贈した。 寺本さんは普段 「あっちゃん」 の愛称で呼ばれており、 同センターの職員らが 「あっちゃん号」 と名付けた。 福祉車両には、 埴田のイラストレーター松下恭子さんが描いた、 ふれ愛センターの利用者に囲まれてほほ笑んでいる寺本さんの姿がデザインされている。
 同センター前で贈呈が行われ、 得津さんは 「似顔絵入りなので、 天国のお姉さんは 『何これ、 やめて』 と照れて怒っているかも。 でも最後には 『まあ、 ええか』 と許してくれると思う」 と、 寺本さんを振り返った。 町社会福祉協議会の西川弘海会長 (78) は 「あっちゃんは、 以前から 『センターに車が少ない』 ということを言っていた。 これで車が1台増え、 福祉の機動力が向上する。 とてもありがたい」、 職員らも 「あっちゃん号はいつまでもふれ愛センターで活躍してくれる」 と話し、 感謝していた。