第5回カラテワールドカップの男子軽量級で兄優輝選手 (21) が準優勝、 中量級で弟の勝汰選手 (19) が3位に入る大健闘をみせた美浜町の前田兄弟が17日帰国し、 役場に森下誠史町長を訪ね、 大会結果を報告した。 優輝選手は決勝で3度の延長にもつれこむ激闘の末、 惜しくも判定で敗れたが、 アウェーの不利な闘いも含めて 「すべてが収穫でした」 と笑顔。 勝汰選手とともに、 4年後のリベンジを誓った。
 カラテワールドカップは直接打撃制(フルコンタクト)空手の階級別世界一を決める4年に一度の大会。今回はヨーロッパのリトアニアで開かれ、NPO法人全世界空手道連盟新極真会和歌山県本部御坊支部の前田兄弟はともに初参戦。優輝選手は70㌔以下の軽量級、勝汰選手は80㌔以下の中量級に出場した。
 優輝選手は1回戦のカナダ人選手、2回戦の地元リトアニア人選手を優勢勝ちで下し、3回戦のロシア人選手は得意の下段回し蹴りで一本勝ち。準決勝は日本人の森川琢也選手(24)を判定で破り、決勝は2連覇を目指すカザフスタンのモイセイエフ選手(28)と対戦した。
 試合は互いに決め手を欠き、本戦(3分)に続いて2回の延長戦、さらに体重判定も決着がつかず、2分間の最終延長にもつれこんだ。ラスト2分は会場が空手発祥の日本人選手と闘うモイセイエフ選手への大声援に包まれるなか、優輝選手は死力を尽くして相手を圧倒したが、5人の審判の判定はまさかの2―3。国際大会のアウェーの厳しさが身にしむ結果となった。
 勝汰選手はその翌日、兄の無念も晴らす決意で試合に臨み、2回戦(1回戦は相手が棄権)で自分より15㌢も大きいカザフスタンの選手に判定勝ち。3回戦は地元リトアニア人選手を延長の末に判定で下したが、続く準決勝は日本人の加藤大喜選手(20)に押し込まれ、力を出し切れぬまま本戦が終了、判定で惜しくも敗れた。
 優輝選手は「優勝を目標としていた大会で2位に終わり、とても悔しいですが、初めての海外の試合でいろんな経験ができました。次こそ優勝できるよう頑張ります」、勝汰選手も「中量級は外国人の選手が優勝しましたが、次は空手母国の日本人の自分が優勝したいと思います」と決意を示し、森下町長は「世界の強豪ぞろいの大会で、2位と3位は本当に素晴らしい結果。今後も家族や指導者ら周囲への感謝の心を忘れず、さらに上を目指し、スポーツが盛んなこの美浜の子どもたちに夢を与えられるよう頑張ってほしい」と述べた。
 優輝選手の決勝戦はインターネットのユーチューブで公開中。BSジャパンでは28日午後2時から大会の番組が放送される。