日高町は新年度から本格的に、町内最大の観光地ながら近年大幅に利用客が落ち込んでいる産湯海水浴場の再生に取りかかる。本年度から3カ年計画で進めている砂浜や駐車場を整備する県の補助事業に加え、開会中の3月議会には新たに国の補助を受けて補正予算3200万円を提案。海の家機能を含む地域交流拠点施設建築などにも取り組み、2つの事業を併せて観光客のV字回復を図っていく。
 町などによると、 産湯海水浴場はかつて16万人の海水浴客でにぎわっていたが、 最近はその4分の1以下まで利用が落ち込み、 地域経済にも大きな影響を及ぼしている。 県内の白良浜 (白浜町)、 扇ヶ浜 (田辺市) などに比べて整備が遅れたことが原因の一つと考えられ、 2つの事業で再び以前のにぎわいを取り戻したい考えだ。
 県の補助 (2分の1) を受けて行われているのは産湯海水浴場周辺地区整備事業。 予算は5000万円。 本年度から平成26年度までの3カ年計画で、 初年度は600万円を使って駐車場東側の水路を改修。 2年目は3600万円を投じ、 砂浜整備と駐車場の舗装を行う。 最終年度は800万円で観光案内板のリニューアル、 駐車場でのクエ・フェア開催などを計画している。 駐車場は約4500平方㍍あり、 周辺にフェンスを設置。 砂浜整備では海岸線に目立つようになってきた砂利をならしたうえで、 海水浴場北の産湯漁港に堆積している砂を運び入れる。 メーンゲート前周辺の砂浜は砂の流出が問題になっており、 砂の搬入で美しい海岸を取り戻す。
 国の補助 (金額は未定) で進めるのは過疎集落等自立再生緊急対策事業で、 町有地の駐車場に海の家機能を含む地域交流拠点施設を建築するのがメーン。 これまでは夏場に産湯自治会所有の海の家を借りて売店、 食堂などを運営してきたが、 老朽化が目立ってきている。 新施設は海水浴場の運営を行っている日高町地域振興㈱に貸し出し、 夏場に海の家として使用するだけでなく年中オープン。 クエ・フェアをはじめとする各種イベントの拠点施設や観光情報発信の場として活用する。 3月議会で予算が認められれば設計に取りかかり、 新年度中の着工、 供用開始を目指す。 新施設完成後はサーフィン大会の開催も検討中で、 1年間通して観光客を迎え入れられるようにハード、 ソフト両面の充実を図っていく。
 中善夫町長は本年度の施政方針演説で産湯海水浴場の再生について、「これらの観光施設の充実により、 本町を訪れた皆さまに本町のよさを満喫していただき、 さらなる観光客の増加に期待している」 と意欲を見せている。