ことし話題になった言葉に贈られるユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞が発表され、お笑い芸人・スギちゃんの「ワイルドだろぉ」に決まった。その他のトップ10には山中伸弥氏のノーベル賞受賞で一気に知られるようになった「iPS細胞」。それに格安航空会社の「LCC」、総選挙に関連して「近いうちに...」、五輪からは「手ぶらで帰らせるわけにはいかない」などが入った。ことしの漢字同様、世相を表すような言葉も多く、耳にするだけでこの一年がどんな年だったのか浮かんでくる。
 過去の年間大賞を振り返ってみる。いまが旬の「無党派」の受賞者には、青島幸男元都知事が記されている。1995年のことだ。2000年には「IT革命」があり、01年には米百俵などの「小泉語録」。03年には「マニフェスト」、06年はベストセラーにちなんで「品格」が選ばれている。07年は「どげんかせんといかん」、3年前には「政権交代」があり、まだ記憶に新しい昨年は女子サッカーの「なでしこジャパン」となっている。
 スポーツ紙などによると、大賞を受賞した芸人は翌年以降露出が減っていくという嫌なジンクスがあるそうだが、お笑いの世界だけには当てはまらない。何年かたって振り返ってみると、結構おもしろいと思う。
 バラエティー番組の収録で10㍍の高さからプールに飛び込み、骨折したスギちゃんは本当にワイルドだったが、この一年、大震災の復興は思ったより進まず政治は目に余るような権力闘争を繰り広げ、また景気は回復しないままなど国民を取り巻く状況も文字通りワイルド。来年は脱ワイルド、年末の流行語には楽しい、明るい言葉が並ぶことを期待しよう。  (賀)