野田佳彦首相が「近いうちに」といっていた衆院選が来月4日公示、16日投開票される。国民からの信頼が必要な政治家が「近いうちに」なんてあいまいな表現を使うこと自体いかがなものかと思うが、大方の国民が期限だと考えた年内の解散という約束は守った。
 ただ、約束を守るのは当然だし、「野田降ろし」の回避や第三極の準備が整わないのを狙っての急な解散表明という思惑が見えてそれほど評価する気にはなれない。そもそも民主党に政権が交代してから3年4カ月。和歌山にどれだけのことをしてくれたのか。玉置公良前代議士によると、紀南病院の存続、台風12号災害復旧への3203億円の予算獲得など多くの実績を残したという。それはありがたいが、災害復旧は超党派で取り組む問題で、何も民主党だけの力ではないだろう。
 また、忘れもしない民主党は、自民・公明政権時代に予算がついていた高速御坊―田辺間の4車線化の事業費745億円をいきなり廃止。さらに「効率を考え4車線化は北から順番に整備する」といっておきながら、有田―御坊間については事業開始時期のメドすら立っていない。南北に長い半島という本県の形から、高速整備は観光客の誘致、企業誘致、災害時の物資輸送などに必要不可欠で、県民にとって命の道と呼ばれているにもかかわらずである。
 全国紙の世論調査をみると、民主党はもはや政権を維持するのは難しいだろう。政策の違いや保身のため離党する議員も増えており、衰退への雪崩現象が起きているようにも思う。勉強不足で未熟な政党とはよく評されること。しかし、それを選んだのは国民。本県にとっては高速整備で取り返しのつかないことが起きたのを有権者1人1人が肝に銘じておくべきだ。(吉)