雨水などの排水対策で市は、 緊急的に美浜町田井地内、 西川沿いにある民間所有のため池と周辺の土地合わせて1200平方㍍分を数百万円で購入した。 民間がアパートを建てるという情報をキャッチしたための措置。 ため池は周辺一帯から流れ込む排水の調整池の役割を果たしているが、 仮に埋め立てられれば大雨時に周辺が冠水する恐れがあり、 排水路ルートの変更なども余儀なくされるところだった。
 購入したのは薗地内の楠山ひふ科西で、 市との境界沿いにある田井地内のため池770平方㍍と周辺の土地430平方㍍。 下水道課によると、 薗や田井地内一帯に降った雨水などは、 複数の排水路を通ってこのため池に流れ込み、 さらに西川に排水されていく仕組み。 貯水容量は不明だが、 雨が降ったときの調整池の役割を果たしている。 ため池のある場所はかつて西川が流れていて、 製材所の貯木場として利用されていたが、いまは堤防道路で隔てられてため池のようになっているだけで、 もともと調整池として整備したのではなく、自然な形でそうなったとみられている。
 そういった場所に民間が土地を購入してアパートを建設するという計画が浮上。 市でアパート建設の手続きなどをする関係で分かった話で、 市が排水対策を考えて先に購入することにした。 結局、 アパートを建設するという民間は資金繰りが困難になって建設を断念したが、 今後もこういったことがないようにする狙いもあり、 先月末までにため池と周辺の土地の所有者と売買契約、登記、費用の支払いなどの手続きを完了させた。 行政区域が違う美浜町内に市の所有地がある格好になるが、 特に問題はない。また、ため池が埋め立てられれば美浜町田井地内への影響もあるが、 市側が受ける影響が大きいということで、市が単独で購入費を負担した。予算は9月補正で計上していたが、売買契約が済むまで公表を控えていた。