こんな透明感のある高音の美しい歌声をライブで聴いたのは初めてかもしれない。先日、市人権講演会で講師を務めた盲目のチャレンジャー立木早絵さん(19)=那智勝浦町出身=のピアノの弾き語りである。2歳のときにウイルスが網膜に入り失明したが、水泳や野球、自転車などスポーツ万能少女として活躍。最近は24時間テレビでの津軽海峡水泳やキリマンジャロ登山で一躍有名になっている。そんな立木さんの次のチャレンジは歌で自分の思いを伝えること。作詞、作曲も自ら手がけこの日は「夢に向かって」「感謝」などのオリジナル曲を披露したわけだが、その多才ぶりに感心、感動させられた。
 講演では「よく周囲の人から『普通の人でも大変なのに頑張ったね』といわれます。でも『普通』と『普通じゃない』というのは何なのでしょうか。だれでも苦手なことやハンデがあり、1人では全てできません。私もそうで家族や友達、人生の先輩らのおかげでいまがあります。『普通』と『普通じゃない』という言葉の中に、心の壁があるように感じます」と話していたのが印象的だった。
 多分、「普通」という言葉を使った人は、「普通に目が見える人でも大変なのに」というほめ言葉だと思うが、言われてみれば意識していないうちに障害者に対して心の壁をつくっているのかもしれない。確かに社会の中で生きていくには、それぞれみんな得手、不得手があり、不得手な部分はハンデだと言える。それは目が見えない人や足が不自由な人と、ハンデがあるという意味では同じ。みんなハンデがあり、みんな普通なのだと思う。立木さんも言っていた「心のバリアフリー」の大切さを再認識させられた。      (吉)