全日本剣道連盟の設立60周年記念第58回全日本東西対抗剣道大会 (16日、 宮崎県武道館) に出場する西軍のメンバーに、 日高高校教諭の田中紀行さん (44) =御坊市塩屋町北塩屋出身、 田辺市たきない町在住、 教士7段=が決まった。 心技ともに円熟した剣士だけが出場を認められ、 国内トップレベルの実力者が東西に分かれて競い合う伝統の一戦。 田中さんは5年ぶり2回目の出場となり、 「剣道の素晴らしさを見せられるように勝負してきたい」 と燃えている。
 東西それぞれ先鋒から大将まで選りすぐりの35人が、1人1試合ずつ対決。合計の勝敗数で雌雄を決する。メンバーは各都道府県剣道連盟推薦の候補者を全日本剣道連盟会長委嘱の選考委員会で協議し、決定。出場には少なくとも6段の実力が必要で、過去の実績、技術、品位、風格など心技ともに認められた一握りの剣士にのみ白羽の矢が立てられる。東西は福井、愛知、岐阜、三重の各県より東が東軍、滋賀、京都、奈良、和歌山から西が西軍に分けられ、和歌山県は西軍のエリア。和歌山からは数年に1人しか出場がなく、今回も県内からは田中さんだけがメンバー入り。
 田中さんは塩屋小1年から市内の剣道クラブ、弘武館で剣道を始め、河南中、日高高でも竹刀を握った。東海大(神奈川県)に進学後も剣道部に所属。卒業後は教諭として南部高、熊野高などで生徒たちの指導に当たり、平成19年4月に日高高へ赴任してきてからは高校、付属中の指導者として活躍する傍ら、県剣道連盟日高支部に籍を置いて腕を磨いている。小学6年生時にハワイで開催された世界大会で3位。社会人になって以降は平成9年に全日本選手権大会出場、10年に全国教職員大会個人3位、国体出場5回の実績があり、全日本東西対抗には7段の段位を受領した19年に出場した。
 東西対抗には最高位の範士8段らの実力者がずらりと顔をそろえる。本番を前に和歌山市で行われている強化練習にも参加。戦前から始まった由緒ある一戦へ向けての仕上げに余念がなく、得意の面に磨きをかけている。
 田中さんの登場は21番目。千葉県の岩切公治さん(45)=教士7段=と対戦する。前回出場時は延長の末に惜しくも敗退しており、「今度はぜひ勝ちたい」とリベンジへ闘志。さらに「勝敗だけでなく剣道の素晴らしさ、正しい剣道を見せながら勝つということも心がけて勝負したい」と意気込んでいる。