日高高校箏曲部が、全国高校総合文化祭で文化庁長官賞を受賞した。昨年に続き、伝統芸能に関係する人にとっての桧舞台である国立劇場で「優秀校公演」に出演する
◆全国トップクラスの賞。それを連続して手にするのは決して生やさしいことではない。前と同じように弾けばまたもらえる、という類のものではもちろんない。エッセイなどのコンクール受賞作品を読んでも、賞を受けるほどの作品は「感心」してもらえるような技巧的なものではなく、心に「感動」を呼ぶ作品だ。そして感動を知る人だけが、人の心を打つものを創り出せる
◆同部の何よりもの力は、膨大な練習量とそれを共有してきたことによる絆。その絆は学年を超えて連綿と続き、現地にはOGも応援に駆けつけた。厳しい時間を共に過ごしたからこそ、熱い感動を分かち合える。聴く人の心を動かす音楽は、身についた技術の上にあるその心の部分から生み出されるのではないか。全国1、2位を競うレベルの演奏は、そんな境地で展開される。そこで問われる質の高さを維持し続けることが如何に困難か、想像するに余りある。「本番はたった1度だから、思いきり楽しんで弾こうと思った」とは、演奏リーダーの古田裕希子さん(3年)の言葉。やるべきことはやり尽くした、だからこそ無心に弾ける。指導の神田佐和子さんは「苦しい時間の積み重ねが、いい形で実を結んだ」と言われた
◆優秀校公演は25・26日、同部の出演は25日午後2時25分ごろ。部長の廣田絢香さん(2年)は「もっともっと練習して感動してもらえる演奏がしたい」と言っていた。その真摯な心がある限り、彼女達の弾く弦からは、聴く人の心を揺さぶる音が生まれるだろう。    (里)