4年ほど前の夏、 釣り好きの筆者はウナギ釣りに夢中になったことがある。 釣り方は穴釣り。 川を歩きながらウナギが隠れていそうな岩の下や隙間などを見つけ、 2㍍ぐらいの細い竹を使って穴の中に針のついたエサを送り込む。 ウナギがかかると、 釣り糸が 「スー」 と引き込まれる。 仕事の休みの日には、 朝からエサのミミズを掘って川で一日中穴釣りを楽しんだこともあった。 しかし、 その後、 長年にわたって腰痛に悩まされ、 穴釣りからは遠ざかっている。
 ウナギ釣りは食べる楽しさもある。 味にはこだわりが少ない筆者でも、 天然ウナギと養殖ウナギの味の違いなら分かる。 天然ウナギは余分な脂が少なく、 味わいがさっぱり。 蒲焼にした時も身が小さく引き締まる。 一方、 養殖ウナギはよく肥えていて、 ふんわり柔らかいのが特徴。 どちらがおいしいかというのは個人の感覚だが、 筆者は天然ウナギの方が好きだ。
 そのウナギの価格がことしは高騰している。 全国的には蒲焼の老舗でも廃業に追い込まれるというケースも。 要因は稚魚のシラスウナギが不漁で、 取引価格が跳ね上がっていることだ。 県によると、 昨年1月は1㌔当たり45万円だったが、 ことし4月には180万円と4倍にもなったという。
 ことしも穴釣りのシーズンを迎えた。 最近は腰の痛みも消え、 そろそろ川へ釣行に出かけたいと思っているところ。 もうすぐ土用の丑の日 (7月27日) だが、 ことしはウナギの値段が高い。 穴釣りに夢中になっていた4年前は家内からは 「家の用事も手伝ってくれず、 自分ばっかり」 という小言も聞かされたが、 ことしは案外機嫌よく見送ってくれるかもしれない。(雄)