去る19日に紀伊半島南部に上陸した台風4号の影響で、 みなべ町山内の千里の浜に産みつけられていた絶滅危惧種指定のアカウミガメの卵の大半が台風の高波で流出する被害があった。 台風前には少なくとも40~50カ所に産卵されていたとみられている。 町ウミガメ研究班の後藤清代表は、 「ことしの産卵回数は昨年を上回るペースだったが、 台風にやられたのは残念」 と話している。
 台風の接近に伴い、 千里の浜には高波が打ち寄せた。 ウミガメは波打ち際から遠い内陸の浜に上がって卵を産み落とすが、 砂浜の大部分に波が押し寄せ、 大半の卵が流されるなどした。 今月9日から同海岸でボランティアで調査活動を行っている日本ウミガメ協議会のメンバーによると、 「台風で砂が堆積して以前より3㍍ほど高くなっている部分もあれば、 逆に砂が削られ3㍍ほど低くなっている場所もある。 通常、 ウミガメは50㌢程度砂を掘って産卵するが、 低くなった場所では卵ごと流されたとみられる。 砂が堆積した場所でも、 無事ふ化するのは難しいのではないか」 と話している。
 産卵した場所には探知機を埋め込み、 ひもでつないだ札を地面に出して目印にしていたが、 波でどこに行ってしまったのかも分からない状態。 卵は壊滅的な被害を受けたとみられる。 千里の浜は本州有数のアカウミガメの産卵地で、 昨年は152回の産卵があった。 ことしは5月12日に初上陸と初産卵を確認。 昨年を上回るペースで産卵が続いていた。