サッポロ飲料㈱ (本社・東京) は、 「梅干しをつくる過程で生成される梅酢ポリフェノールに脂肪を効果的に燃焼させる効果がある」 と、 マウスを使った実験で明らかにした。 近畿大学生物理工学部 (紀の川市)、 県工業技術センター (和歌山市) 等と共同研究で解明。 今後は脂肪燃焼のメカニズムを突き止め、 梅を使ったメタボ対策飲料や健康食品の開発を目指す。
 実験には梅の果汁成分を含む梅酢から抽出したポリフェノールを使用し、 実験対象のマウスを2グループに分けて実施した。 1つのグループには市販の粉末飼料を与え、 もう1つのグループには梅酢ポリフェノールを0・4%含有させた飼料を摂取させた。 期間は3週間とし、 マウスが自由にそれぞれの飼料を食べられる環境をつくった。 4週間目に後ろ足の後方部分にある腓腹筋 (ひふくきん) とヒラメ筋を採取し、 エネルギー代謝関連遺伝子を測定した。 結果、 梅酢ポリフェノールを摂取したマウスは細胞内でエネルギーを生産する遺伝子群の発現量が増加し、 脂肪を燃焼させてエネルギー生産を促進したことが分かった。 細胞内に脂肪を蓄積させないという効果もみられたという。 同社では 「今回の試験結果で、 梅酢の健康素材としての活用の幅がより広まる可能性に期待したい」、 研究に携わった近畿大学の矢野史子教授は 「いままでも梅は体に良いと伝えられてきたが、 体の中でどういう風に作用しているのかが解明された。 健康機能を科学的に分析することで、 地場産業である梅の消費の活性化にもつながる」 と話している。
 サッポロ飲料、 近畿大学、 県工業技術センターは、 平成19年から梅の機能性に関する共同研究を実施。 これまでに梅酢ポリフェノールの成分に疲労を回復させる効果があることなどもマウスを使った実験で解明している。