来年度の国の施策と予算に関し、県は災害対策や公共インフラの充実、福祉・地域医療の推進など47項目の提案・要望をまとめ、各大臣らに提出した。地震・津波対策では、公共施設や住宅も含めた予防的な集団高台移転を提案している。
 東日本大震災後、国は都市計画事業や防災集団移転促進事業に被災地特例を含めて公共施設、住宅等の高台移転を支援している。全国的には市町村役場庁舎等の移転を検討しているまちは多く、県は今回、現行の公共施設の移転支援制度の拡充を要望。住宅については被害を受ける前の予防的な対策として、沿岸部の津波避難困難地域を高台への移転で再編する「いのちを守る津波防災地域づくり」を提案した。
 イメージは、まず沿岸部にある公共施設を高台に移し、さらに希望する個人の家を移転させ、空きが出る沿岸の既成市街地に工業団地や水産加工施設の産業ゾーンを整備。これについて仁坂吉伸知事は11日、「和歌山県の南部は東日本大震災のときの東北よりもずっと早く津波が到達する。とにかく逃げることが大事だが、とても逃げ切れない早さで津波がきてしまう地域もある。高齢者ら社会的弱者の命を守るには、あらかじめ高台に移っておくのが望ましい」とし、「いま、生活しておられる人の事情を加味しながら、進めていくには相当の覚悟と準備、予算、期間も必要だが、始めなければ進まない」と決意を示した。