近畿中部防衛局が27日に美浜町役場を訪れ、 議員らに陸上自衛隊が煙樹ケ浜で計画している懸案の水際地雷敷設訓練の実施に向けて、 関係する地元紀州日高漁協と三尾漁協の同意を得たことを報告した。 計画が浮上して実に9年越しのゴーサインで、 24年度中にも第1弾の訓練を予定している。 ただ、 かねて一部住民からは根強い反対の声があり、 今後一層反発が強まりそうだ。
 煙樹ケ浜での訓練計画は平成15年から持ち上がり、 自衛隊は和田にあった施設隊を第304水際障害中隊に改編し、 水際地雷敷設車3台の配備、 専用工場の建設を進めるなどで準備。 18年にはデモ訓練も行って漁業関係者や地元住民の理解を求めてきた。 訓練の実施に向けては地元漁協の同意のほかに、 煙樹ケ浜を管理する県の認可が必要となるが、 かねて仁坂吉伸知事は訓練の受け入れに前向き姿勢で認可を下ろすとみられ、 漁協の合意が事実上のゴーサインとなる。 関係者によると漁業者には一定の補償も出される方向でまとまっているという。 訓練は24年度のいつになるのかは未定。 水際地雷敷設車を投入し、 陸上部分100㍍×200㍍の広さを使って60日間、 海上部分1㌔×2㌔の広さで80日間行う。
 今回の報告を受けて美浜町の森下誠史町長は 「和田の自衛隊は訓練ができないため存続が危ぶまれていた。 本県でも大規模地震がいわれている中で、 いざというときに自衛隊の協力を得なければならないが、 地元に自衛隊があれば心強い」 と話している。 平成18年に賛成決議をしている町議会からはこの日特に質問もなく、 高垣典生議長は 「自衛隊には公共工事のお手伝いもしてもらっている。 早期に訓練が実施できることを期待している」 としている。 ただ、 共産党日高地方議員団や地元の美浜の自然を守る会など訓練の実施に反対している団体もある。 同党の楠本文郎市議は 「この訓練は攻め込まれたときの防衛のためだけでなく、 攻め込むときの戦法としても使える。 戦争を前提にした訓練だ」 と警戒を強めており、 「抗議声明を出して反発していきたい」 としている。