県は27日、日高川町和佐に製造工場をもつチョコレート菓子の専門メーカー㈱たにぐち=本社大阪市東住吉区、谷口壽代表=が同地内の南山工業団地に新工場を建設することを発表した。同社は県と旧川辺町が平成元年7月に誘致した企業で、工場の増設によってチョコレートオーナメントやチョコレート菓子などの生産能力の増強を図る。来年6月からの操業を目指している。
 南山公園入口にある現在の和歌山工場では平成元年の操業以来、ケーキの飾りつけなどのオーナメントチョコ、トリュフ・プラリネチョコ、焼き菓子やキャンディーなど製造している。現在従業員は87人。敷地は3300平方㍍で、平成10年と15年の2度にわたり増設し、延べ床面積約5600平方㍍に拡充したが、業績の進展・拡大に伴い、手狭となっていた。生産能力の向上、独創性のある新商品開発に向けて設備拡充を図るために工場を増設することにした。
 新工場名は和歌山第2工場。既存の和歌山工場の南東約200㍍の6082平方㍍の敷地に、鉄骨2階建て、延べ床面積2944平方㍍で建設する。1階部分は製造工場、2階部分は会議室などで、和歌山工場の製造部門の1セクションを移転し、チョコレート全般の製造を強化。大型車2台を収容できる車庫も完備するほか、2階からは1階の工場部分を見渡せる造りにし、ケーキの試作室なども設置。希望者への工場見学に対応するほか、ケーキの講習会なども開催したい考えで、地域の人が親しめる工場となる。事業費は約9億円で、土地は町からの借地。新規地元雇用の正社員は6人を予定している。
 工場の増設は、町にとって固定資産税収入や雇用面などメリットは大きい。今月30日に同町役場で同社の谷口代表、日高振興局の東岡誠吾振興局長、日高川町の玉置俊久町長が出席して調印式を行うことになっている。
 ㈱たにぐちは、資本金2000万円で、売上高は年間約25億円(平成23年7月期)。主要取引先は大手製菓・製パン、コンビニ、ホテル、外食産業など。昭和37年に菓子材料の卸売で谷口商会として発足し54年に㈱たにぐちとなった。翌年からチョコレート等の製造を開始、58年に印南町に印南工場を建設した。現在は本社、日高川と印南の2工場ほか、東京にオフィス、大阪府吹田市にアンテナショップがある。