昨年9月の台風12号で一時孤立状態となったみなべ町清川地区の状況について検証した災害調査報告会が26日、 清川公民館で開かれた。 地域住民を対象にヒアリング調査した和歌山大学環境システム学科の趙在竜 (チョー・ジェリョン) さんが被害状況などを説明したうえで、 「発電機、 アマチュア無線など災害時の必要物資が保管している場所を防災地図上に明記することが重要」 などと提案した。
 清川地区は台風12号で大きな被害を受け、 1人が土砂災害で死亡したほか山崩れや道路の決壊などが各地で発生して一時は孤立状態となった。 情報網も寸断されるなど生活に大きな支障が出た。 趙さんは災害時の住民対応を検証しようと、 昨年12月4日から6日までの3日間にわたって区長、 町職員、 消防団、 婦人防火クラブ、 独居老人、 小中高生ら58人からヒアリング調査を実施。 結果をまとめ、 今回の報告会を開催した。
 報告会は町自主防災会連絡協議会 (中本光一会長) の主催で開かれ、 住民ら約50人が出席。 中本会長は冒頭、 「今回の災害を再認識し、 防災、 減災に役立てていきたい」 とあいさつした。 趙さんの報告では被害状況の説明から始まり、 土砂災害の発生、 電話や電気がストップしたことなどを発生から時間を追って振り返った。 薬が必要な住民に対し、 住民らが道路が決壊した場所で受け渡して届けたことなども紹介した。 問題点しては 「ぜんそくで発作を起こした患者が停電中に吸引器が必要となり、 清川公民館に発電機を借りに行ったが、 実際は発電機があったにもかかわらず対応者が発電機があることを知らずに 『ない』 と返答していた」 などと指摘した。 災害対応の提案としては2つの事項を挙げ、 1つ目には 「災害が発生した場合、 安否確認、 道路復旧、 被害状況など必要な情報を区内の区長や消防団、 高校生、 役場職員などの誰が収集に行くのか。 そしてどのような方法で伝達するのか。 事前のワークショップなどで対応を検討すべき。 被災した道路について 『いつ復旧するのか』 という見通しの情報も大切になる」 とした。 2つ目の提案には 「今回の災害ではチェーンソー、 バスケット担架、 発電機、 ガソリン、 無線などが実際に必要物資として使用された。 これらについては防災マップ上に保管している場所を書き込むことが必要。 そうすることでスムーズな対応につながる」 と訴えた。 コーディネーターの同大学の照本清峰特任准教授は 「孤立しても地域で対応する力が清川にはあった」 と締めくくった。 このほか、 県砂防課職員を講師に迎え、 出前講座 「土砂災害について」 を聴講した。