15日の市議会一般質問で、 市営住宅の入居者の中に条例で定める収入の超過者が今月1日現在で10世帯いることが明らかになった。 収入超過者はその住宅を明け渡す努力義務が発生することから、 質問した山田勝人議員が 「即座に退去すべきというわけではないが、 公営住宅の目的からすれば本当に生活に困窮している世帯のための住宅確保に努めるべき」 と要請した。
 山田議員は「収入超過者に対してそう簡単に行政から明け渡しを求めることは難しいのは重々承知している。しかし、入居希望が殺到して入居できない世帯があふれている。また、住宅に困窮する低所得者に対して低い家賃で住宅を貸し出すという公営住宅の目的からしても、民間住宅でも生活を維持することが可能な収入超過者の世帯には、ご理解をいただき、本当に生活が困窮している世帯のための住宅確保に努めるべき」と質問。これに対して住宅対策課の最明靖夫課長が「収入超過の世帯と十分に話し合い、低所得者が活用できるように努力したい」と回答した。
 ただ、同課によると、収入超過者は世帯の合計収入が月額15万8000円以上の場合に認定され、市からその世帯に「明け渡し義務が発生します」という通知書が送られるが、あくまで努力義務であるため、強制退去のような法的拘束力は持たない。また、いまは収入超過しているが、間もなく定年退職して収入が減少する場合や、その世帯の子どもが不定期に働きだしたからたまたま収入が増えているなどさまざまな家庭事情もあり、市から明け渡しを求めるのが難しい一面もある。
 さらに収入の月額が31万3000円を超える、または4年連続で収入を超過している世帯は高額超過者に認定され、市が明け渡しの通知書より厳しい明け渡し請求を行うことになる。しかし、こちらも即時撤退などの拘束力はなく、その世帯と一定の協議期間を設けた上で判断するという程度にとどまり、結局のところは入居世帯のモラルや良心に頼らざるを得ないともいえそうだ。