市内森岡区産業廃棄物処分場建設計画は、県の認可手続きが進んでいるが、反対派の動きが活発化してきた。塩屋地区では中止を求める塩屋の会が発足して学習会やデモ活動など実施。会員は500軒1000人以上を目指している。反対の理由は「処分場の汚染物質が周辺に流れ出し、農漁業に影響を与える」など。確かに処分場では専用のシートを敷いて廃棄物を埋めるが、そのシートが地震や老朽化で絶対に破れないとはいいきれない。
 7、8年前の楠井の産廃問題のときには、地元区総会で反対が決まったが、森岡の処分場に反対しているのは塩屋の住民たちで、言い方は悪いが法的に部外者だと聞いている。しかし、森岡地区から王子川の下流に位置するのが塩屋地区で、処分場で汚染水漏れでも起きた場合の影響は避けられず、全くの部外者というのも少々疑問である。
 しかし、そんな不安がある中も、賛成、反対を決められるのは地権者のみ。建設予定地は個人と区の所有になっているが、いずれも建設に賛同している。建設地がある市と印南町の首長は意見を述べることができるが、県が数年かけて慎重に環境影響調査をしたり、専門家の意見を聞いたりした上で手続きを進めており、市は「安全性を保つため業者の指導を徹底してほしいとしかいいようがない」と漏らしている。そうなると計画に待ったをかけるのは難しい気がする。
 ただ、影響が心配される周辺地域や住民が建設に待ったをかけるのが難しいなら、せめて産廃のような影響の大きな施設に関しては何かあった場合に業者や県からの補償が事前に確約できる法律や仕組みが必要だとも思う。     (吉)