日高地方を中心に、日本一の産出額を誇るエンドウの栽培技術を高めるため、市内の暖地園芸センターで9日、生産者やJAの営農指導員らを対象とした研究会が開かれた。エンドウ生産に関する話題や研究成果を提供、情報交換の場として毎年開かれており、ことしは同センターの研究員らがウスイの空気さやや主な害虫の防除対策などについて研究結果を報告した。
 日高地方は御坊市、印南町などでエンドウが多く作られ、県内最大の生産地。研究会にはウスイやキヌサヤの生産者を中心に、JAや県の普及業務担当者、関係職員ら約70人が参加し、暖地園芸センター園芸部の川西孝秀研究員ら3人が研究成果を発表した。
 川西さんは「ウスイエンドウの空気さやの発生と冬期の栽培管理」をテーマに、空気さやの発生原因、日照条件、光合成との関係など調査結果を説明。「空気さや」とは、見た目はふくらんで正常だが、中の実が成長せず空っぽのさやのことで、川西さんは受精後の実の肥大不良の原因は日照不足や低温にあるのではないかとみて、日照不足を想定した遮光試験などを行った。結果、「空気さやは花粉や受精の不良、夜間の低温が主原因ではなく、厳冬期に日照不足の日が多くなると空気さやが増え、日中の低温でも多発することが分かった」と話した。
 このほか、農業試験場環境部の橋本真穂研究員が「施設エンドウの水分管理」、井口雅裕研究員が「エンドウ主要害虫の発生と防除対策」をテーマに調査結果を説明。エンドウ類の国内生産と輸入の動向についての報告もあった。