長年にわたりソフトボールの普及、 振興に尽力してきた人たちをたたえる県ソフトボール協会 (会長=二階俊博代議士) の平成23年度表彰が決まり、 日高地方からは中井量吉さん (69) =御坊市島=が奨励感謝賞を受賞した。 中井さんは生まれつきの聴覚障害を抱えながら33年間も公認審判員を務め、 ハンディをもろともしない正確なジャッジで選手のハッスルプレーをサポート。 今月末で審判員は引退するが、 「今後もできる限りの協力をしていきたい」 と元気いっぱいだ。
 本年度の受賞者は功績賞4人 (日本ソフトボール協会表彰2人含む) と奨励感謝賞1人。 4日に和歌山市中央コミュニティーセンターで開かれた同協会総会の席上、 表彰式が行われた。
 中井さんは以前からスポーツ観戦が趣味の一つで、 友人に勧められたのをきっかけにソフトボールに携わるようになった。 昭和53年暮れ、 県内の公式大会で審判ができる第3種公認認定に合格。 同61年には近畿クラスの公式戦でジャッジを任せられる第2種公認認定も見事にパスした。 県内で近畿大会が開かれた時には主審を務めたこともあり、 男女問わず小学生から一般まで幅広い年齢層の選手たちを陰で支える縁の下の力持ちとして活躍してきた。 日高新報社主催、 日高地方女子ソフトボール大会にも毎年参加。 20年ほど前、 ソフトボールの大会が多かった時には毎週グラウンドに通い、 ここ数年も毎年10試合程度は審判を務めている。 平成17年度には同協会の功績賞を受賞。
 言語と聴覚が不自由な中の審判。 ジェスチャーをフルに使ってカバーするなどしてスムーズな、 トラブルのない試合進行に努めた。 主審の際にはファールチップの音が聞こえないということもあったが、 塁審に協力してもらうなどし、 常に公平、 正確なジャッジで信頼を得てきた。 33年間では午前5時半に自宅を出発したり橋本市や田辺市への出張もあったが、 「いろんなところへ行けるのがうれしかった。 橋本市であった近畿大会が一番の思い出」。 審判員をやめようと思ったことは一度もなく、 「大会がない時は退屈」 とグラウンドに立つのを何よりも楽しみにしてきた。
 体調面にやや不安があり、 今月末で審判員は引退するが、 「これからも大会があれば観戦に行きたいし、 連絡をもらえばお手伝いもしにいきます」 と意欲的。 今回の受賞に際しては 「2回も賞をいただき、 まさかという気持ちで本当にうれしい」 と記念の盾を手に笑顔を見せている。 平成27年に県内で開催される障害者スポーツの全国大会でもスタッフとして協力したいと張り切っている。