14日に日高町中央公民館で行われたクヌッセン機関長救命艇保管庫竣工式で、中善夫町長は「遺徳を後世に残すことが私たちに課せられた責務である。新しい保管庫の竣工を見るに至り、ますますその思いを強くした」と式辞。仁坂吉伸知事は「皆さんとともに、ご遺徳を末長く和歌山県でたたえる」と述べ、二階俊博代議士からは祝辞で「美浜町、日高町、県の教育長が三者一体となって、教科書へ載せられるように頑張ってほしい」と呼びかけがあった。クヌッセン機関長が亡くなられて半世紀以上が経過するが、3氏とも「国境を超えた人間愛を後世へ」との思いをあらためて強くしていた。
 デンマーク人のクヌッセン機関長は昭和32年2月10日、貨物船で航行中に日ノ御埼沖合で徳島県の木材運搬船が炎上しているのを発見。転落した乗組員を救おうと嵐の海に飛び込み、命を落とした。翌日、田杭の海岸に遺体となって打ち上げられ、救命艇もほど遠くない場所に漂着した。平成19年夏、没後50周年を機に機関長の生まれ故郷を訪問した中町長らに同行。現地の人に機関長について尋ねたところ、「船に乗るデンマーク人なら多くが同じ行為をしたと思う」との話が聞けた。自分たちの国の勇気ある人を誇りに思うとともに、相手を思いやる心を持った国民性があるのだろうと感じた。
 展示室、駐車場、トイレが整備された新施設。来年度からは小学生の社会見学や道徳教育の場として、どんどん活用してもらいたい。東日本大震災でも再認識させられたが、子どもたちが今日忘れられつつある「助け合いの心」を学ぶことは何より重要な教育である。デンマークに負けない国民性でなければ、クヌッセン機関長も浮かばれない。    (賀)