毎年恒例の寒行を行っている日高川町玄子、浄土宗法性山円通寺の豊嶋英雄住職(57)は2日、30年目となったことしの修行を無事に終えた。
 住職の寒行の取材を始めたのは4年前から。前任者に「一度、取材に行ってみれば」と勧められたことがきっかけだった。筆者の母方の実家が円通寺の檀家で、豊嶋住職とは以前から知り合いのため、熱が入る取材だ。寒行は毎年、寒の入り(1月5日から6日)から始め、ひたすら念仏を唱えながら川辺地区を3~4時間巡る。雨や雪などどんな悪天候でも休むことはない。ことしは21日の大寒を前に急激に寒さが厳しくなり、凍てつくような風雨に打たれて濡れネズミのようになったこともあったという。寒い中、檀家は豊嶋住職が通るのを待ち、檀家以外の町民も手を合わせ、「頑張って」「体に気をつけて」と声をかける。見ず知らずの人との出会いも多く、懸命に追いかけてきた酔っ払いの男性やたまたますれ違っただけの京都の観光客らからも浄財を寄せられたという。取材の際、寒さで体を震わせながら写真を撮ったが、そんな話を聞き、修行に励む姿を見ると、凍てつく体とは逆に心の方はとても温かい。
 豊嶋住職は厳しい修行ながら「これが僧本来の姿。寒行は人目を忍ぶことから夜にするんです。毎年のことですが、終わりが近づくにつれてもっと長く修行を続けていたいと名残惜しい気持ちになる」と笑う。寒行の間は心身ともに鍛えられ、満たされているのだという。辛く厳しいことは早く終わってほしいと思うのが、人のさが。研ぎ澄まされるとそんな気持ちは凌駕され、心地よさへと変わってしまう境地。ことしも取材を通して、心が洗われ、自らを戒めた。 (昌)