柔道の世界ランキング上位の選手で争われるマスターズ大会で、日本選手は女子が4階級で金メダルを獲得したが、男子の優勝は90㌔級の西山将士だけ。エースの穴井(100㌔級)も準決勝で敗れ、昨年から続く「まさかの敗退」ももう許されない。ロンドンに照準を合わせて稽古を重ね、夏には見事な一本で金メダルを。
 来年度からは中学校で、剣道、相撲、柔道の3つから学校が指導科目を選択する武道必修化が始まる。基本の受け身から投げ、寝技も指導するのだろうが、子どもたちがふざけたり気を抜けば大けがをする危険が伴う。昭和58年から平成22年までの28年間に、中学・高校の部活動と授業で114人が死亡したという報告もある。いろんな運動クラブがあるなかで、柔道の事故死率は突出して高い。
 最近も三重の高校で柔道部の生徒が練習中に首を脱臼、半身不随になったというニュースがあった。ほかにも、先生に投げられた生徒が頭を打って亡くなった、植物人間になったという話があとをたたない。許せないのは教師が初心者の子どもを強く投げつけたり、締め技で頚椎を損傷させるケース。明らかな体力差、技術差がありながら、自分の行為が危険であることが分からないのか。事故とはいえ、亡くなった生徒の親や家族の気持ちを考えると、一生かけても償いきれない過ちである。
 16・17日には県立武道館で、中学校の教師、教委職員ら指導者の研修会が開かれた。本来の武道の精神にのっとり、子どもたちの強い体と心を養うためにも、指導者は急性硬膜下血腫や加速損傷など脳損傷のメカニズムを知り、畳の上の安全対策を万全にしなければならない。 (静)